仕事や帯同でインド在住の方はもちろん、インターン、ボランティア、留学などでインドにて生活をする日本人の方がいる。
とりわけNPO法人、インドではSection8Company(NGO)として活動している中ですでに生活している方はもちろん、日本にいる高校生や大学生の方からインドで活動したいという問い合わせをいただく。
一方で教育機関の方や親御さんとしては”なぜインドなのか”という疑問が付き纏うだろう。
とりわけ貧困地域の活動現場となると想像ができないことからくる恐怖、不安があり、そこへ行って活動したり学んだりする理由が求められ、高校生、大学生の口からは「親を説得して行きます!」といったことをよく耳にする。
その説得材料ではないが、私がインドで活動をし、日本の方を受け入れ、かつ教育機関の方々と話す中で「日本ではなかなか身につけられないがインドの現場だからこそ身に付けられるスキル」について記載する。
結論は「他者の課題と向き合いそれを把握する力」だと考えている。
貧困現場では様々な課題を目にし、耳にする。
貧困、女性差別、人身売買、児童労働、違法ドラッグなど事例は枚挙に暇がないのだが、その具体的な事案に直面することもある。
当然これらの課題は日本だろうがどこにいようがインターネットを活用すれば”知識や理論を学ぶこと”はできる。
とりわけ開発学では実際の課題がある地域ではなくアカデミアとして、将来のキャリアとして有望なイギリス留学をまず考える方も多いだろう。知識を身につけることなど自己努力によって容易に実現する。
ではインドの現場では何を学び、上記のスキルが身に付くというのだろうか。
実際の活動現場ではまず現場の人間関係、人の行動する倫理観や選択の論理、それらの方々から信頼関係をえつつ情報を把握し、共に解決する計画を作り、現場の方と共に課題を解決していく。
順番として「まず解決策を外人が来て提案する」では必ずといっていいほど課題は解決されず、場合によっては課題を増やして去っていく者もいる始末である。
現場の方にとって、当たり前ではあるが日本人の方と同じように日々の生活があり、大事にしていることがある。
その中で理論やましてアカデミアの世界では”正しい”とされる解決策を”押し付けること”は現場の方々を”貧困地域に住んでいる課題解決の対象物”という程度でしか捉えられておらず、その方々から信頼をえて課題を把握して解決策を導入するなどということはそもそも現場の人が受け入れない。
一方で解決策がスムーズに受け入れられることもある。なぜならその解決策の実施においてお金や物を無料でもらうことができるからである。この結果課題が解決するのであれば良いが、往々にして課題を増やすことに繋がる。外人が支援してくれるから何もしなくていいという怠惰な精神の醸成や物が無料で配られることによって地元の事業者が販売できなくなり失業し、不要なものはゴミになり、ゴミ山ができる。解決策を導入した側の人間はうまくいかないと”あそこの人は怠惰”だから”あそこの人はできないから”などとレッテルを貼り、実験場のように捉えてすぐに去っていく。
このような当たり前の”理論”をインドの活動現場に居続け、同じ人間として人と向き合うことでインドで身に付けていくことはビジネスであれNGOであれ政治であれ「人の課題を解決して対価、報酬を得る」という活動を行う上では最も重要なのではないかと思われる。
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